クラウド運用モデルとは
クラウド運用モデルとは、クラウド・コンピューティングを使用してビジネスや組織の目標を達成するための手法やプロセスを概念的に表現したものです。クラウドでどのようにビジネスを運用したいかを明確にすることは、日々の運用を支えるアーキテクチャを設計するうえで極めて重要です。
クラウド運用モデルがビジネスや組織にどのように役立つかについて、詳しく見ていきます。
運用モデルとは
運用モデルとは、運用プロセスを設計・開発するための概念的な枠組みです。
クラウド運用モデルが重要な理由
クラウド運用モデルという用語の持つ意味は、クラウド・プロセスの基本的な概念から発展し、現在では、パブリック、プライベート、オンプレミス、ハイブリッド、エッジに配置されたクラウドを通して、用途に応じて柔軟にクラウドを利用するという新しい構想を含むものになっています。
クラウド運用モデルでは、使い慣れたテクノロジーや従来のプロセスの踏襲を優先するのではなく、ビジネスの目標に基づいたクラウド・プロセスを定義します。そのためには、チームやシステムの統合や、迅速性を高めるためのプロセスの見直し、新しい運営体制の構築、場合によっては IT 部門内でのカルチャーの再定義が必要になります。
最適なクラウド運用モデルとシステムの要件は次のとおりです。
クラウド・エクスペリエンス
- クラウドのストレージが、利用可能なテクノロジーや仕様に制限されるのではなく、サービスの成果や保証に基づいて提供される。
- ニーズにあう機能を提供するサービスまたはサービス・レベルを利用できる。
- 必要な時に、必要な場所で、無制限にその機能にアクセスできる。
- 提供されるテクノロジーが、市場の変化への継続的な対応をめざすビジネス・モデルを支援できる。
クラウド・エコノミクス
クラウド運用
- API を利用した高度な自動化と DevOps をセルフサービスで実現できる。
- ストレージ資産の可視化と管理により、リアルタイムの意思決定、あるいはワークロードの配置や資産管理に関するポリシーベースの自動意思決定が可能になる。
- 必要に応じたデータの移動、ストレージ使用量の拡大と縮小が、柔軟・迅速に実施できる。
クラウド運用モデルで解決できる課題
テクノロジー、市場、ユーザーの期待が急速に進化するなか、多くの企業が、従来のクラウド管理の手法に起因する課題を認識し始めています。例えば、サイロ化したチーム、煩雑な変更管理、不要な冗長性、一貫性のない後手のシステム拡張などが負担となり、迅速性と柔軟性を阻害しています。
クラウドへの移行は、当初は二者択一の問題だと考えられていましたが、今は大幅に複雑化しています。パブリック・クラウドには通常、コストや柔軟性の面でのメリットがあります。一方、セキュリティについては、用途によっては十分な場合と十分でない場合があります。例えば、AI ソリューションにリアルタイムでアクセスするユーザーにとっては、十分なのかもしれません。
パブリック、プライベート・クラウドの運用モデル
最初のクラウド運用モデルは、パブリック・クラウドのサービス・プロバイダのストレージにデータを格納するだけというものでした。次に、アプリケーション、プラットフォーム、サービスがプロバイダによってホストされ、分散したユーザーが高速ネットワークでアクセスするようになりました。やがて、パブリック・クラウドのセキュリティ、遅延、柔軟性の限界が明らかになり、企業は CSP の専用サービスやオンプレミスのプライベート・クラウドで対応するようになりました。
今日、クラウド運用モデルの最適な形の 1 つとなっているのが、パブリック、プライベート、ハイブリッド、エッジ・クラウドそれぞれの長所を生かす、カスタマイズされたハイブリッド・クラウドです。
クラウド運用モデル、クラウド導入フレームワーク、クラウド運用アーキテクチャの違い
これらの用語は、同じような意味で使用されることがあります。クラウド導入フレームワークは、クラウドの導入を成功させるための手順やベストプラクティスをまとめたものです。クラウド運用アーキテクチャは、クラウド展開を構成する設計、コンポーネント、システム、リソースをいかに組み合わせるかを意味します。一方、クラウド運用モデルは、これらの要素の組み合わせだけでなく、価値の提供やビジネス目標の達成という要件を含みます。
クラウド運用モデルのメリット
熟慮されたクラウド運用モデルは、ビジネスの効率性、俊敏性、レジリエンスを高め、顧客とビジネス成果への注力を可能にし、結果として収益性を高めます。
クラウド運用モデルの構築と導入に必要なステップ
クラウド運用モデルを成功させるために必要な人材、プロセス、テクノロジーは、組織によってさまざまです。しかし、共通の課題として、新しいクラウド運用モデルを導入するには、クラウドを介したビジネス目標の達成に向けてあらゆることを見直し、再設計する必要があります。
新しいクラウド運用モデルの導入における最大の課題は、関係者、関係部門の賛同と協力を得ることかもしれません。関係者全員が新しい役割を受け入れ、優先順位を理解し、新しい方法でコラボレーションを行う必要があるためです。
クラウドの運用モデルが可能にする俊敏性と柔軟性を、組織全体で受け入れることも重要です。すなわち、市場、顧客、製品、ビジネスモデルの変化を受け入れること、さらには、変化をリードする役割を担うことが重要となります。