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3D NAND の概要と仕組み

3D NAND の概要と仕組み

3D NAND とは

3D NAND は、不揮発性フラッシュ・メモリの一種で、トランジスタ・ダイにフラッシュ・メモリ・セルを垂直に(3 次元に)重ねることでストレージ密度を高めています。3D NAND は、垂直 NAND(V-NAND)とも呼ばれます。データの整合性を大きく損なわないという条件下で、1 枚のトランジスタ・ダイに積層するセルの層を増やすことで、ストレージ密度が高まります。

3D NAND の仕組み

一般的なフラッシュ・メモリ・チップは、電気回路内に電荷量としてデータを格納することで動作します。3D NAND の仕組みを理解するには、まず、NAND セルの内部構造を知ることが重要です。

「NAND」の意味

NAND は「Not AND」の略称で、論理演算子(ブール演算子)または、NAND セルの内部回路を制御する論理ゲートを意味します。NAND 演算子は、両方の入力が「真(TRUE)」の場合に出力が「偽(FALSE)」となり、それ以外の場合は「真」となります。

フラッシュ・メモリの動作の基本

最も基本的な NAND セルは、次の 2 つのゲートで構成されるトランジスタです。

  • 制御ゲート:回路の残りの部分と電気的に接続され、セルのプログラミングを可能にする。
  • 浮遊ゲート:回路から電気的に絶縁されており、電力なしで電荷を蓄えることができる。

浮遊ゲートは、2 つの絶縁層に挟まれており、上部の絶縁層の上には制御ゲート、下部の絶縁層の下にはソースとドレインを接続するチャネルが配置されています。

NAND セルをプログラムするには、制御ゲートに電圧を印加します。電荷が上部の絶縁層のしきい値電荷を超えると、チャネル内の電子が浮遊ゲートに注入されます。浮遊ゲートに電荷が蓄えられると、データが記録され、セルのバイナリ値が 0 に設定されます。

セル内のデータを消去するには、ソースとドレインに高い電圧を印加し、制御ゲートに負の電荷を誘導します。これにより、浮遊ゲートに蓄えられた電子が下の絶縁層を通過してチャネルに入り、セルのデータが消去され、バイナリ値が 1 に設定されます。

NAND セルを垂直に重ねる理由

セルのサイズが小さくなるほど、1 つのトランジスタの表面におけるセル間の距離も小さくなります。このことは、フラッシュ・メモリが 1 つのトランジスタ・セルに電荷を蓄えることで動作することを考慮すると、問題となり得ます。セルから電子が漏れると、永続メモリ・ストレージとしての機能が損なわれることになります。NAND セルを積層することで、メリットが得られます。主要なメリットのひとつとして、トランジスタ・セル間の間隔を広げて、隣接するセルからの干渉を避けるという点が挙げられます。これにより、セルの安定性が向上し、寿命が延びます。

フラッシュの進化の過程における 3D NAND の位置付け

3D NAND のテクノロジーは、業界がセルの小型化による物理的な限界を突破し、ムーアの法則に沿って進歩するうえで大きな役割を果たしてきました。テクノロジーの進化の概要:

  • シングルレベル・セル(SLC)フラッシュ:1 つのセルに 1 ビットを記録、電荷量は 2 段階
  • マルチレベル・セル(MLC)フラッシュ:1 つのセルに 2 ビットを記録、電荷量は 4 段階
  • トリプルレベル・セル(TLC)フラッシュ:1 つのセルに 3 ビットを記録、電荷量は 8 段階
  • クアッドレベル・セル(QLC)フラッシュ:1 つのセルに 4 ビットを記録、電荷量は 16 段階

フラッシュの世代が進むごとに電荷量が倍増し、セルあたりのビット数が増えています。1 つのセルで複数の電荷状態を扱うことで複雑さが増し、高度な電気的精度が必要とされます。このことは、NAND デバイスの性能と寿命の低下につながります。

一般的には、高速性と安定性という点では SLC が、大容量という点では QLC が優れています。しかし、性能と耐久性の間のトレードオフの程度は、絶対的なものではなく相対的なものです。フラッシュは、性能面で HDD をはるかに上回っており、テクノロジーの進歩とともにセルの安定性も向上しています。TLC NAND の耐久性の限界に対する懸念は時間の経過とともに解消し、昨今のデータ・センターでは、高性能、高信頼性、高速性を備えた 最新の TLC 型 NAND が活躍しています。

3D NAND の特長

ここまでで 3D NAND セルの基本的な仕組みについて説明しました。次に、3D NAND の特長について説明します。3D NAND がもたらす主な効果:

  • 1 枚のチップに搭載できるフラッシュ・メモリ・セルの数が増え、容量の拡大を可能にする。
  • 面積の制約を解消し、セルを最適に配置して電気的な干渉と電子の漏れを避けることで、信頼性を高める。
  • 個々のセルに蓄える電荷量を増やすことでビット数が増え、容量がさらに拡大する。

3D NAND の弱点

上述のように複数の電荷状態を管理するのは容易なことではありません。1 つのセルに格納するビット数が増えると、読み取り/書き込みの操作を確実に実行するために必要な電気的精度が高まります。

このことは、次のような弱点につながります。

  • 製造コストが高くなる。
  • 容量と、セルの信頼性・寿命との間にトレードオフが生じる。

3D NAND SSD の信頼性

2D NAND と 3D NAND を直接比較すると、3D NAND のほうが、性能、速度、消費電力、耐久性、コスト効率の面で優れています。しかし、2D NAND を積層する MLC 構成のアーキテクチャが存在することに留意する必要があります。このようなシステムは、3D NAND と競争できる可能性があります。このことから、コンポーネントだけを見て一概に判断するのではなく、ケースバイケースでストレージ・システム全体の信頼性を見て判断すべきだることがわかります。

ピュア・ストレージがいかにして 3D NAND を活用し、お客さまのニーズに応えるカスタム・ソリューションを提供しているか

オールフラッシュ・ストレージ・ソリューションの先駆者であるピュア・ストレージは、3D NAND テクノロジーを活用した高性能のオールフラッシュ・ストレージ・アレイを開発しました。従来のハードディスク・ドライブに価格面でも十分に対抗できる製品ラインが揃っており、さまざまな用途をサポートします。製品の例を以下に示します。

  • FlashArray//X:TLC NAND ベースのオールフラッシュ SAN による、ティア 0/ティア 1 のアプリケーションに最適な高性能ブロックストレージ。
  • FlashArray//C:QLC フラッシュをベースとする容量重視のオールフラッシュストレージ・ソリューション。ハイブリッド、HDD ベースのストレージ・アレイと同等の容量あたりの価格でオールフラッシュの性能を提供。
  • FlashBlade:統合型高速ファイル/オブジェクト(UFFO)ストレージを提供する、スケールアウト型オールフラッシュ・ストレージ・ソリューション。

書き込みが高速で大規模な並列処理が可能な 3D NAND は、データ・ストレージを高速化します。ピュア・ストレージは、データ・センターに関するさまざまなニーズに対応します。ピュア・ストレージの製品とソリューションについて詳しくは、Web ページをご覧ください。

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導入事例:株式会社 JSOL|ピュア・ストレージ
総合的な IT サービスの提供で定評のある株式会社 JSOL は、VDI のニーズ急増によるストレージの諸課題の抜本的な解決策としてピュアのオールフラッシュ・ストレージ FlashArray を導入し、ストレージ I/O の高速化をはじめとする大幅な性能の向上に成功しています。
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