2023 年の展望
またピュアはこのたび、2023 年の展望も発表しました。ピュア・ストレージ・ジャパン株式会社のアジア太平洋・日本地域担当 プリンシパル・テクノロジスト 岩本知博は、インフレと景気後退のリスクが高まる中、レジリエンスの強化、総所有コストの削減、リソースの最適化が企業の課題として浮上し、テクノロジーへの投資にも影響を与えるだろうと述べています。
フラッシュの進化:2023 年はフラッシュ・ストレージの高密度化の年に
QLC(クアッドレベル・セル)や DirectFlash といったフラッシュ・ストレージの進歩により、フラッシュの低コスト化や高密度化が進み、多くの組織が従来のディスク・ストレージをフラッシュに置き換え始めています。環境の持続可能性に対する監視の目が厳しくなる中、フラッシュが電力やスペースの節約に有効である点も、企業がレガシーなディスク・ストレージからフラッシュに移行する理由の一つとなっています。2023 年にはフラッシュ・ストレージの密度が飛躍的に向上し、ティア 2、さらにはティア 3 のワークロードへの適性が高まると予想されます。
Anywhere Service Economy:いつでも・どこでも利用できるサービス利用への障壁がさらに低減
2023 年には、サブスクリプション方式や従量課金方式など、柔軟な消費モデルへの IT 投資のシフトが加速することが予測されます。これは、特に外部の投資家に依存している組織内の企業文化の変化によって進むとみられます。投資機関や取締役会は、資本財・設備投資の負担が小さい企業をますます好意的に見るようになっています。より戦略的な分野に投資するための財務的な柔軟性を提供することができるからです。その結果、2023 年にはいつでも・どこでも利用できる Anywhere Service Economy がさらに拡大することになるでしょう。
サプライチェーン:製造プロセスの見直しでサプライチェーンの混乱を軽減
地政学的な緊張が続く中、サプライチェーンの問題もあり、企業はソフトウェア開発および製品エンジニアリング・サイクルを見直す必要に迫られるでしょう。そのため、企業は標準コンポーネントの再利用・転用を可能にする、よりモジュール化されたアプローチを検討することになるでしょう。このようなアプローチは、サプライチェーンの混乱に直面してもプロジェクトを完了できる柔軟性を提供すると同時に、ソフトウェア開発ライフサイクルにおける取組みの重複を防ぐことができます。ソフトウェア開発と製品エンジニアリングのプロセスを再構築し、部品の再利用を取り入れることで、組織はサプライチェーンのリスクをさらに軽減し、レジリエンスを強化することができるのです。
ESG:ESG の概念が経営層だけでなく実務レベルにまで浸透
ESG は、ほとんどの企業にとって引き続き重要性を増していきますが、説明責任と実証された行動が再びフォーカスされるようになるでしょう。政府は炭素排出を制限する政策や税制を打ち出しており、組織は新しい基準に準拠する必要があります。投資家、パートナー、消費者は、組織を支援するかどうかの判断において、ESG の実践と実績をこれまで以上に考慮するようになっています。ステークホルダーは ESG インテグリティを求めており、企業は ESG 戦略と報告を徹底した組織全体の変革を推進する必要に迫られています。また、規制を満たすためだけでなく、お客様、パートナー、従業員の期待に応えるために、ESG の社会とガバナンスの側面がますます重視されるようになるでしょう。
データ保護:データ・セキュリティの中核が、迅速なデータ回復能力へとシフト
サイバー脅威はランサムウェアにとどまらず、サイバー攻撃者が要求する身代金を支払っても、データを回復できる保証はありません。ハッカーの手口は、単に身代金目的でデータをロックすることから、完全にデータを盗むことへと変化しており、最後のセーフティネットとしてサイバーセキュリティ保険に頼っても、2023 年にはもはや十分なデータ保護は望めません。組織は、ランサムウェアや不正を行う従業員に対する最後の防衛線となり、かつ迅速な復旧を提供する統合型高速ファイルおよびオブジェクト・ストレージ・プラットフォームを採用し、「より安全なデータ」アプローチを取る傾向が強まるでしょう。